インプラントの不具合にもいろいろありますが、
最も多いのが「上部構造の緩み」です。
勘違いして「インプラントが緩んでいる!」と慌ててしまう方も多いが、
インプラントと歯槽骨の結合が壊れるなんて急に起こるわけはありません。
大半の緩みは「上部構造の緩み」。
ただし緩んだまま放置しておくと周囲歯肉が炎症を起こします。
そして支えている歯槽骨も吸収(痩せてしまう)する。
早期に対応すれば、そんなに大きな問題ではないのです。
大半のインプラントシステムは3つのパーツに分かれている。
骨の中に埋まっているインプラント体と上部のクラウン。
そしてそれをつなぐ歯肉貫通部のアバットメント。
アバットメントは一部のインプラントシステム以外はスクリュー固定。
上部構造は先生方の考え方でスクリュー固定か接着剤固定。
なんにせよどこかでスクリューで固定されている。
過剰な力がかかってくるとそのスクリューが緩んだり折れたりすることがある。
一見トラブルのように見えるが、最も大切なインプラントと骨の結合を守ってくれたと考えたい。
スクリューが頑張りすぎてインプラントに過剰な力がかかって大問題になるよりは、
上部構造の修理ややり直しなどでリカバリーできたほうがはるかにいい。
もちろん緩みの原因を解決しなければ再び緩んでしまうので、
しっかり元栓を締めるような原因の追究と対策が必要になる。
当医院には様々なインプラントを入れた患者様がたくさんご相談に訪れます。
普段取り扱っていないインプラントシステムをリカバリーする場合、
メーカーに協力をしてもらい器材をレンタルしてもらったりすることも多い。
最近は上の写真のような万能ドライバーセットが発売されているので、
各システムで形態やサイズが違うスクリュードライバーの大半がフィットする。
一般の方からみたら、ホームセンターに売ってる工具のようですよね…。
今日の緩みはアバットメントスクリューの緩み。
上部構造は接着固定されていたが、何らかの理由でアバットメントスクリューが緩みカタついた。
咬む面から直径約2ミリの小さな穴をあけてスクリューを更に緩めて1度完全に外し、
インプラント周辺歯肉と上部構造アバットメントを洗浄後に再セットしました。
つまり、接着固定からスクリュー固定にしてリカバリーしたのです。
この世の中すべての形あるもの永遠なものはなく、
飾りでない歯やインプラントは不具合が起こることもあります。
生体の一部として長年機能させていくためには日々のメインテナンスが重要。
毎日のセルフケアと数か月おきのプロフェッショナルケア…。
しっかり使い分けて快適な口腔環境をキープしましょう。
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