上顎臼歯部にインプラント治療を希望される際に、
「骨が少ない…骨が軟らかい…」から難しいと言われることがあります。
頬骨の裏側には上顎洞と言う空洞があるのでそもそも骨の厚みがないですし、
その空洞の底がちょうどう蝕罹患率が高い第一大臼歯周辺なことが多い。
抜歯すると歯根膜からの血流がなくなるので必ず骨は痩せていきますので、
インプラントを支える骨量が足りないということが多いの上顎臼歯です。
同じ人間の顎骨でも部位によって硬さがかなり違います。
下顎骨は非常に硬い骨なのでインプラントを固定するのは割と簡単です。
しかし逆に過剰な圧迫を歯槽骨に加えてしまいやすいので注意も必要です。
上顎骨は下顎骨に比べてとても軟らかいことが多いので逆に固定に神経を使います。
そんな理由から上顎臼歯部のインプラント治療の際には、
「骨が少ない…骨が軟らかい…」と担当医から困難だと言われることが多いのです。
インプラントを支える支持骨は最低8ミリ、できたら10ミリはほしい。
その骨量が不足している場合様々な方法で骨造成を行います。
上顎洞内の粘膜を破らないように剥離しできた隙間に自家骨や人工材料を移植。
数か月すると既存骨と一体化してインプラントを支える支持骨になります。
移植の方法としては大きく粘膜剥離し大きく側面を開窓し大量に増やす従来の方法と、
元々インプラントを埋入する予定の直径4ミリほどの穴から粘膜を挙上し、
その極小な穴から移植する低侵襲骨造成など様々な方法があります。
開腹手術と腹腔鏡下手術の違いと似てますでしょうか。
可能な限り低侵襲を目指しますので極小の穴から造成する方法を目指しますが、
既存骨が1、2ミリと極薄の場合はやはり従来の窓開けで大量に骨造成します。
とにかく既存骨や粘膜を破りインプラントが上顎洞内に突き出た状態はNG.(写真左)
しっかり増骨して支持骨を増やして長期間安心して咬めるようにしなければなりません。(写真右)
当医院には難症例の相談が多く今週だけで3つの側面からの上顎洞底挙上術を行いました。
どのケースも既存骨は2ミリ以下と極薄でそのままではとてもじゃないですが埋入不可。
側面からの骨造成の場合、同時にインプラントを埋入することもありますが、
通常は厳しいケースに行う骨造成なので改めて4~6か月後にインプラント埋入します。
一般的にこの上顎洞底挙上しての骨造成をサイナスリフトと言います。
側面から行うことをラテラルアプローチ。
歯槽頂側から行うことをバーティカルまたはクレスタルアプローチ。
そんな風に呼ばれています。
今週だけで3つのサイナスリフトラテラルアプローチがありました。
難症例のインプラント相談が多いKU歯科クリニックです。
: 治療説明用イメージ画像 オーラルインフォーム参照(株)モリタ