平成8年の開業時から前歯のオールセラミッククラウンを行っている。
22年前ですからまだ世の中はメタルボンド(陶材焼付け鋳造冠)全盛の時代。
お付き合いを始めた院外ラボがVITAインセラムオールセラミックスを導入しており、
色を出すために無駄に形成量を増やしたり便宜抜髄反対派の私としては渡りに船だった。
強度もなく接着剤の接着力も今一つだったので臨床的にはかなり苦労した。
今は二ケイ酸リチウムやジルコニアなど強度と審美性を兼ね備えたマテルリアルが登場。
透過性の高いセラミックのために様々な色のセメントが準備されている。
本当にこの分野の進化は目覚ましく良い時代になった。
強度があって接着力があり透明度が高いということは支台歯形成のコンセプトも違う。
接合部も昔ほど厚みも要らないうえに美しいので深くする必要もない。
深くする必要がないということは型採りの際に歯肉を傷めない。
つまり全体的に支台歯形成量は少なくなって接合部に関しては薄く浅くという流れ…。
浅ければ光学印象で正確に取り込みやすくなるので口腔内スキャナーの出番が増える。
口腔内スキャナーは動画でカラーなので色の再現も容易になる。
マテリアルの向上とデジタル化によって歯科臨床は大きく変化しているのです。
KU歯科クリニックグループは開業時より
金属不使用のオールセラミックでの歯科治療を推奨しています。
古いコンポジットレジン充填が1つの歯で3か所以上もあって、
そこからさらにまた2次う蝕になって大変なことに…。
神経を保護する薬剤を敷いて歯質削除量は極々最小限に。
しばらくは仮歯で歯肉をコントロールし印象採得。
上の写真は指摘時で下は装着後。
オールセラミッククラウンをレジン系接着剤でね。
形成量も少なく接合部も浅いのわかりますか?
メタルボンドだとなかなかこうはいきません。
もちろん神経は残したままの生活歯です。
最近「スピード矯正」とか言うわけわからない言葉が独り歩き。
ワイヤーを使って天然歯を移動させていく歯列矯正とは全く別物。
健康な歯を削ってセラミック被せて形や方向を整える…。
矯正治療ではありませんのでご注意ください。
安易に健康な歯を削ることなく最小限のダメージで最大の効果を!