海外にお住いの日本人の方からご相談を頂きます。
メールで何度かやり取りをしたり直接お電話で話すことも。
もしレントゲン写真などがあればメール等で確認させていただく。
大まかな診断後に治療費はもちろんスケジュールまでお伝えし、
帰国までの過ごし方などの注意事項を確認。
最近は画像データのやり取りが簡単になったので、
事前にかなりの状況まで把握できるのです。
来日時にすぐに精密検査を行い最終的な診断治療計画を決定する。
無駄な時間を過ごさず治療に入れるように準備しておかなければならないし、
限られた時間・回数で行うので計画的でなければならない。
帰国後のトラブルは避けたいので最初の診断治療計画がとても重要だし、
材料選択や各ステップもより慎重に確実に行わなければならない。
当グループは技工部もありますのでこんな対応がスムーズ。
そういうこともあり遠方から受診される患者様は年々増えています。
当然海外だけでなく国内の遠方から来院される患者様も同じ。
そういった需要の高まりから今年6月に新たな医院をオープン予定。
場所は新宿区になります!
海外にお住いのこちらの患者様は右上6番にインプラント。
上顎大臼歯部は骨質が軟らかく上顎洞(副鼻腔)があるため高さが不足しがち。
最低8ミリ以上の長さ(できれば10ミリ)のインプラントを埋入したいので、
ほぼ半分くらいのケースで上顎洞底を挙上し骨造成してインプラント埋入する。
今回はインプラントを埋入するための穴以外に傷を作らない低侵襲な方法で行った。
上顎洞底の硬い皮質骨をわずかに持ち上げるだけで骨補填はしなかった。
インプラント先端を硬い皮質骨に当てることで初期固定もしっかりとれ安定し、
挙上してできたわずかな隙間の中に骨再生能を持つ血液で満たされるので、
数か月で自然に骨造成されるのだ。
様々なチェックを行った後で上部構造(クラウン)はスクリュー固定にする。
インプラントは歯根膜という緩衝材がないので強固に固定される。
車で言うサスペンションの働きをしてくれないのだ…。
もしもインプラントに過剰な力がかかった場合、
歯肉を貫通する中間構造体や上部構造にストレスが逃げるよう設計。
過剰ストレスを逃がしてあげた方が骨の中のインプラントに悪影響を及ぼさない。
そして、必ず人間は加齢とともに変化をしていく。
他の天然歯が変化しているのにインプラントだけ何もないなんてことは絶対にない。
もちろんその変化量を最小限になるように努力はするが限界はある。
周囲組織の形態が変わった際にいいタイミングで上部構造の形態を修正したい。
そんなことが簡単にできるようにするために上部構造はスクリュー固定を目指します。
今回の上部構造は従来のメタルセラミックの約6倍の強度を持つ。
前歯などの審美領域であれば更に陶材を盛り上げていくがその部分の強度は落ちる。
上顎大臼歯なので色付けと表面処理のみでシンプルに仕上げたオールセラミッククラウン。
時間が経過すると少し黄ばみも付くのであえて少し白目で仕上げてもらった。
遠方から来院されている患者様の場合には様々な配慮を行わなければならない。
縫合糸は、汚れが付きにくく万が一来院間隔が空いてもいいように溶ける糸を使用。
インプラントシステムもその地域にユーザーが多くパーツの安定供給できるものを選択。
かみ合わせの調整や就寝時の食いしばり防止なども考慮しなければならない。
見た目と違って、ものすごく心配性な私です…。
医療人としてはいいと思うが、公私ともに深く関わりあう人にとっては大変だと思う…。笑
自覚しているだけまだ救いようがあると考えてください。
自分で取扱説明書でも作ろうかな。
簡単マニュアルは要りません…。笑