上顎奥歯のインプラントは下顎に比べて難易度は高いです。
そもそも上顎臼歯部の骨は下顎骨に比べて軟らかく、
頬骨内側にある上顎洞と言う空洞で骨量不足になりやすい。
なので大臼歯が欠損するとちょうどそこにあたるので、
骨質が軟らかいうえに骨量不足で固定が難しくなるのです。
そんなことで上顎のインプラント治療ができないと判断され、
やりたいのにあきらめている患者様が多いようです。
上の患者様の様にすでに下顎に数本のインプラント治療をされ(写真上)
ご満足いただいてる場合は大半の方がインプラント治療を希望されます。
今回も残念ながら古いブリッジが限界で歯根破折を起こし、
2月に抜歯して3か月経過した今日インプラントを2本埋入しました。
上顎臼歯部でインプラントを支える骨を増やすための方法は?
大きく分けると2つあります。
1つはサイナスリフトと言う頬骨側壁に15~20ミリほど開窓し、
粘膜を破らないよう剥離しスペースを作りそこに補填する方法。
大規模な骨造成は可能ですが術後の痛みや腫れは大きくなります。
もう1つはソケットリフトと言う痛みや腫れの小さな方法。
インプラントを埋入するための直径5ミリほどの穴から、
特殊な器具で膜を挙上しスペースを作りここから補填します。
2つ目の方法では同時にインプラントを埋入できる可能性が高く、
侵襲も小さいために術後のダメージが小さく済みます。(図上↑)
ただし内部を直視できないので経験とテクニックが重要で、
それが手術の結果に大きく左右することになります。
医科で言う開腹手術と腹腔鏡下での手術の違いのようなものですね。
うまくいけば最高ですがリスクもあるのです。
当院ではこのソケットリフトテクニックを20年近く行ってます。
もちろんサイナスリフトも行いますがまずはソケットで可能か…。
可能な限り低侵襲な方法を選択するように心がけております。
CTで事前に内部の詳細を知ることが可能になりましたし、
様々な最新の器具があるので可能な限りダメージの少ない方法で。
今回は2本のインプラントを埋入しました。
奥の7番部は骨量十分(写真右の右側)でしたが、
手前の6番部(写真右の左側)はもう少し高さが欲しい。
そんなことでソケットリフトで上顎洞底を挙上し、
少し長めの11ミリのインプラントを埋入し骨造成。
6番部を正面からみたCT画像(写真左)を見ると、
ドーム状に盛り上がった部分がわかると思います。
そこがインプラントを埋入するためにあけた
直径約4ミリ強の小さな穴から骨造成した範囲。
3か月半経過したら仮の固定式の歯に変えていきます。
手術時間は2本で20分ほど。
スムーズな手術でした…。
KU歯科クリニックでは低侵襲インプラント手術を心がけます。