前歯のブリッジを綺麗にしたいと言うご相談。
10年以上前に行った前歯のセラミックブリッジ。
不自然なのでやり直したいということでした。
ただし歯肉移植やインプラントなどの外科処置は嫌だ。
大げさにならない最小限の方法で治したいとのこと。
右1番から左2番までの3本ブリッジ。
メタルボンドという事もありマージン(接合部)は露出。
周囲との色調も調和がとれているとは言えず、
形のバランスも取れていない。
仮歯に交換し歯肉の回復を待って、
新しいジルコニアオールセラミックブリッジを装着。
個人的にはもう少しこだわりたい部分もありましたが、
患者様の「低侵襲な方法で」と言うご希望もありましたので。
ブリッジを交換しただけなのに、
どうしてこんなに違うのか?
もちろん材質の違いもありますが、
もっと大きなポイントがあるんです。
何本か基準線を引いてみます。
まず青い中央線は顔の中心と歯列の中心。
この青線に対して白線の角度を見てください。
上の写真はV字が斜めになってますが、
下の写真はV字が左右対称です。
更に外側のハの字はどうか?
上の写真の右1番は立ってますが、
左1番はやや寝ています。
つまり左右非対称な状態。
下の写真はハの字が青線に対して、
左右対称になっています。
歯がないダミー部分なので自由にできるはずなのに、
このシンメトリー(鏡の法則)が守られてない。
もちろん右2番が健康な天然歯なので、
今回触れる歯が3本で奇数と限界があります。
なので2番目は少し前歯と重ねることで、
横幅の左右非対称を補正しています。。
こういったいくつかのセオリーを修正すると。
最も不自然だった左1番の歯軸が修正されました。
緑の線はその歯軸を表してます。
上はやや内向きに傾いているように見えますが、
下の修正後は隣の歯と整っているかと。
これもとても需要なポイント。
そして最も重要なマージン付近の歯肉。
移植してないのになんとなくボリュームアップ?
不思議としてるように見えますよね。
厚みもしっかりでき薄ピンクの健康な歯肉。
同じ材料を使ったとしても、
扱う人によって大きな差が出ます。
髪型、洋服、建築物、食べ物…。
あらゆるものでそうだと思います。
1本の歯ではなく全体の歯並びを…
歯列だけでなく顔や身体全体を…
そうすると顎や筋肉の左右非対称が見えたり、
普段の自然な時の唇の捲れ方や動きがわかります。
広い視野を持ち歯だけでなくその人全体を診る
拡大鏡やマイクロスコープ全盛時代。
拡大して仕事する時間が長くなった歯科治療。
少し距離をとり患者様と雑談しながら観察する。
あくまで自然な動きの中でですよ。
こういった基本を重要性を見失ってはいけない。
技工担当:デンタルスタジオ246
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