上下の歯で咬めるところがあまりにも少ないと、
咬合高径(奥歯のかみ合わせ高さ)が著しく低くなってしまいます。
どこまでいっても上下の歯が咬み合って安定するところがないので、
このように反対咬合のようになってしまうこともあります。
(写真上の上)
咬合支持(上下のかみ合わせが安定する場所)の範囲を増やして、
理想的な咬合高径を探りながら不安定になった顎を安定させていくと、
顔貌も若返り、バランスの良いかみ合わせを取り戻すことができます。
機能性、審美性、長期安定性、そして修理の簡便性などなど・・・、
どれか1つではなく全てが整っていなければ体の一部として機能できません。
(写真上の下)
上顎は残念ながら保存不可能な歯が数本残っているだけの状態でした。
下顎は左右の臼歯部を無くしたまま入れ歯などを入れず長期間放置。
(レントゲン↑)
しかし前歯を含めた9本は歯周病も軽度。小さな虫歯だけで大きな問題はなし。
上顎を全て抜歯して、6本のインプラントで12本の歯を支持します。
本来は14本ですが今回は12本までの回復をゴールとしました。
斜めに傾斜埋入するオールオン4というインプラント治療法もありますが、
可能であればこのように平行に埋入したほうが望ましいと思います。
今回はあまり大がかりではない骨造成を同時に行い平行に埋入が可能でした。
下顎も12本をゴールとして、右下に1本と左下に2本の3本を埋入しました。
(レントゲン↓)
上下ともに取り外し式(入れ歯タイプ)ではなく全て固定式のインプラント上部構造。
上顎の上部構造は「軽さ」を追求するためにチタン製のフレームを使用。
フレームにコバルトクロムやジルコニアを使用する医院もあるようですが、
顎の疲労を感じないようにするために軽くて丈夫なチタンを選択する事が多いです。
(写真下↓)
チタンはインプラントにも使用されている腐食・アレルギーがない金属です。
歯の部分はジルコニアオールセラミッククラウンにしてチタンフレームに接着。
そうすると、将来もしも破損した場合はそのセラミック部分だけを作り直せば良い。
シンプルにフレームに直接セラミックを焼き付ける場合もまだあるようですが、
少しの破損修理のためにフレームごと全てを外すのはインプラントに負担をかけます。
歯肉部分はハイブリッドセラミックを選択。
時間の経過とともに歯肉の形は変わってきます。
歯肉部分をセラミックにすると修理が煩雑になりますが、
ハイブリッドセラミックならとても簡単にできます。
また、無歯顎インプラントを全てハイブリッドセラミックで仕上げる場合もあります。
製作がシンプルなので安価ですし、ハイブリッドですので軽いし弾力があり良いのですが、
強度不足で破損しやすく、吸水性があるので汚れも目立ち匂いも若干気になります。
当医院は機能性、審美性、長期安定性はもちろん、
将来の修理や交換を考慮した最適な上部構造を提供いたします。
遠方からの計画的なインプラント治療
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<この症例の担当医師>
外科:梅田和徳
補綴:鎌田昌美、牧野正太郎
KU歯科クリニック
デンタルスタジオ246