この歯科治療だめですか?
写真では左から2番目に見える歯。
右下5番のやや白い歯です。(写真上 ↑ )
ちなみに1番左は10年ほど前に行ったインプラント。
こちらも骨吸収も歯肉退縮もなく問題ありません。
右下5番のセラミックインレーが割れてしまい、
どうしましょうかと言うご相談。(写真下左 ↓ )
セラミックインレーが割れたレントゲン。(写真上左側)
割れて取れた部分と残ってる部分を合わせると、
ほぼ咬合面全てと言う広範囲…。
更に2次う蝕になっている感染歯質を除去する。
これはもう全体的に覆うかぶせ物にして、
強度を上げた方が良いと患者様に提案。
その際に歯頚部(歯肉の付け根部分)の着色と、
くさび状欠損を考慮したかぶせ物(クラウン)の範囲を決めてもらった。
従来のクラウンだとマージン(接合部)は歯肉縁より深い。
上の写真で言うと青いライン部分にマージンを設定します。
昔は金属にポーセレンを焼き付けるセラミッククラウンが主流で、
厚み不足のマージン付近は不透明になりやすく不自然なになりやすい。
マージンはどうしても汚れるので歯肉炎の中に入れて付着させることで、
2次う蝕を防ぐなどの目的で深く設定していたんですね。
しかし今は強度のある金属不使用のオールセラミックの時代。
マージンは深くする必要はなくうまくやればかなり審美的にも良い。
そしてオールセラミックは科学的に一体化させる接着で強度が出ます。
接着性レジンは従来の合着セメントより歯肉への悪影響があるので、
絶対に深い部分に取り残しがあってはダメなのです。
様々な部分で直接接着させて健全歯質を守る時代。
神経に近い歯頚部付近をたくさん削るなんて言語道断。
「少し色が濃くてえぐれてるだけで虫歯じゃないんです。
ここまで覆わずにその上までのクラウンにしたいんですが…」
要するに、
・神経へ悪影響を考慮してまで超審美を追求
・歯髄への悪影響を優先させできる範囲n審美で良いか
のどちらかを選択してもらいました。
患者様はもちろん後者を選んでいただき、
マージンは黄色いラインにとどめた。
さしずめ「スリークォタークラウン」です。
やや白くしてるのは将来の着色を考慮してます。
高級な陶器でも使って時間が経てば多少黄ばみまず。
そうなったときになんとなくちょうどいいように、
今はあらかじめちょっと白くしておきますねって。
もう1つ言わせてもらうと型をとって石膏模型で作るのではなく、
口腔内にオーラルスキャナーを入れ撮影する時代。
あんまりマージンが深いと読み取ることが不可能なのです。
この歯科治療だめですか?
こんな話を来週末新潟で少しさせていただきます。
芸術的に美しくても神経とらなきゃダメになるのは嫌だ。
前歯ならともかく奥歯の付け根部分なんて少し色が違ってもね。
それより長期維持できて神経を守れたほうが断然良い。
私ならそうです…。