上顎臼歯部にインプラント治療を希望される際、
骨量不足になっていると担当医に言われることがあると思います。
頬骨の裏側には上顎洞という空洞があるので、
上顎大臼歯部付近は骨量不足なことが多いうえに、
骨質も軟らかいのでインプラント固定が難しい部位。
その場合、選択肢はいくつかあります。
① 短いインプラントを使用する
② 上顎洞を避けて傾斜させて埋入する
③ 上顎洞底を挙上し骨造成する
②は歯の本数が少なくならなければ隣の歯の歯根にぶつかるので、
ケースによっては不可能なことがあります。
一昔前と違い初期固定の良いインプラントがありますし、
短いインプラントの長期予後もほとんど変わらないとも言われてます。
なので現在は①を選択することもありと言えばあります。
しかしやはり長期安定性を目指した時には③で行いたい。
③の骨造成にも大きく分けると2つの方法があり、
1つはインプラントを埋入する小さな穴から骨造成する方法。
こちらは低侵襲ですが骨造成量に限界があります。
もう1つは頬骨側面を窓開けして大量に骨造成を行う方法。
こちらは侵襲はやや大きくなりますが大量の骨造成が可能です。
歯肉を大きく剥離し頬骨からアプローチする方法を、
サイナスリフトラテラルアプローチと言います。(↑参考)
術前CT画像(写真上)
左上4・5・6番部の骨量不足。
高さだけでなく幅もやや細い。
このままではインプラントを固定するための支持骨がありません。
術後CT画像(写真上)
上顎洞内の3歯分の範囲に骨造成完了。
高さだけでなく幅も同時に広げました。
このまま4~6か月ほど待ちインプラントを埋入します。
条件が良い場合は同時に埋入することも。
局所麻酔で約20~30分ほどの手術になります。
もちろん恐怖心の強い方は鎮静法で行うことも可能。
是非ご相談ください。