インプラントの上部構造(セラミックなどのかぶせ物)を製作する。
前歯の場合は機能的回復はもちろんですが、
周囲との調和を図り美しく仕上げなければなりません。
インプラント治療においてとても重要なステップになります。
天然歯のセラミッククラウンを作るのとはかなり違いがあり、
そのポイントをしっかり理解し押さえておくことが大切。
インプラントの方が血流量が少ないし歯肉貫通部の付着も貧弱。
なので予め手術で歯肉を移植しボリュームをアップさせておいたり、
将来少し痩せて組織の形が変わっても問題が起きにくいように、
埋入位置を内側にしておくなど様々な配慮をしています。
上のケースは現在前歯4本が全て仮歯です。
左上1番(写真では中央右側)がインプラント。
他は昔他の歯科医院で行ったセラミックを外した天然歯。
上は4本の仮歯を装着した当日の口腔内写真ですので、
インプラント部分は歯肉が少し押され貧血しています。
下は仮歯装着後1か月経過した今日の口腔内写真。
10分以上たってもこの貧血帯が消えない場合は、
時間の経過とともに歯肉はやや退縮すると言われており、
予想通り1か月後の口腔内写真では少し退縮…。
しかし軟弱だった周囲歯肉はすっかり落ち着き馴染んできている。
天然歯と違いインプラントは深い部分から私たちが作ります。
もちろん骨の中の人工歯根部は当たり前ですが、
骨がなくなり外から見える歯の部分までの間(歯肉貫通部)。
この最も重要な部分も私達が自由に作るのです。
この形は仮歯の段階で理想的に仕上げておかなければならない。
そうしないと最終上部構造を装着した後組織の変化が起こる。
上の写真のような歯肉の形態変化が後で怒っては大変。
なので仮歯で変化させ切ってから製作に入るのです。
自由と言うと簡単そうに見えますがむしろ逆。
インプラントにおける歯肉貫通部の歯肉は再生が困難。
またその形態のまま長期間維持することもまた困難。
血流が少ないし付着も軟弱なのでとても難しいのです。
だからこそインプラント治療独特の工夫が必要で、
ここから先の最終的なセラミックの装着まで。
1ステップも気を抜けないのです。
仮歯って重要なんですよね。
仮歯の1か月後…でした。