7年経過したインプラント。
上顎6番と咬合力が強い歯という事もあるが、
上部構造のセラミックがかなり咬耗している。
良く咬めてる証拠と言えばそうだが、
あまり進行しすぎて薄くなると破折の原因にもなる。
歯根膜のないインプラントは遊びが小さいので、
咬耗が天然歯よりも激しい…。
そういったことを考えるとやはり硬めの材料が良いが、
当時のジルコニアはまだまだフルクラウンで使えるほどの透明度はなく、
せいぜいフレームに使用して表面は結局ポーセレンを焼き付ける。
その焼き付けポーセレンの強度は内部のジルコニアの8分の1程度しかないから、
咬耗が激しく薄くなった部分から割れてしまうことも多かった。
そういうことが嫌なので当時はまだ二ケイ酸リチウムと言う材料を選択。(写真上)
現在は大臼歯の場合は特にフルジルコニアクラウンにしている。
今の世代のジルコニアは強度を落とさなくとも透明感があるものがあるので、
長期安定性と審美性の両方を兼ね備えている。
インプラントの様に歯根膜の緩衝のないものには審美性を追求するだけでなく、
長期安定性や将来の修理リペアのことまで考えなければならない。
上顎洞底の硬い皮質骨をマレットで槌打し貫通させ、
やや長めのインプラントを埋入固定した。
上顎洞内の粘膜を破らずインプラントの先端で持ち上げるだけ。
たった1~1.5ミリではあるがテント上に膜が浮き上がっている。
その間には骨芽細胞を含んだ骨髄液で満たされるので、
何も人工材料を入れなくても時間が経てば支持骨に変化していく。
必要以上に大規模な骨造成を行っても、
時間の経過と加齢で結局それなりに吸収してくる。
時間稼ぎと言う考え方もあるかもしれないが、
必要以上に大掛かりな骨造成は不要とも思う。
この頃と違い今メジャーインプラントメーカーには、
極端に短いものや極細のタイプは当たり前にある。
軟らかい骨や抜歯同時に適した固定力をもつものも。
前にも書いたがラリーをスポーツカーで走らないし、
サーキットにジープで出場することはないだろう。
・若い女性の前歯1本のアクシデントによる中間欠損
・中高年の入れ歯から固定式にしたい3~4本欠損
・総入れ歯から完全固定式を目指す高齢者
・将来のメンテナンスを考慮したオーバーデンチャー
こんなに幅広くインプラント治療の適応が増えてるのに、
なにも無理やり1つのタイプで頑張る必要はない。
ケースに合わせてタイプを選択して、
治療期間の短縮や低侵襲治療を目指したい。
進化のスピードは速い…
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