虫歯の広がり方の大半は、
入り口が小さく深部で広がる。
なので可能ならゆるゆるの樹脂を直接奥に流し込み、
歯質と一体化させる保存修復治療がいいんです。
間違いなく歯質削除量は最小限にできますからね。
それを型採りして間接法で作ろうとすると、
外開きに削らなくてはならなくなる。
健全歯質を無駄に削ることになるので、
歯髄への悪影響が懸念される。
その流し込み直接法では強度が維持できない場合、
間接法で強い材質を外で製作して歯質と一体化させる。
その際にも一昔前の様に接合部を歯肉縁下にすることはせず、
このように歯肉縁上にとどめることが多くなった。
それは、
強度と審美性の高いオールセラミックが登場し、
歯質と一体化させる接着が可能になったから。
歯肉縁上にするこで健全歯質はたくさん残すことができ、
型取りの際に歯肉に余計なダメージも与えることがない。
接着剤の除去も簡単確実なので取り残しの可能性は少なくなり、
安全で確実な修復・補綴処置ができる。
最近では粘土の様な材料で型を採らずに、
カメラでスキャンする印象方法が一般的になりつつある。
その際も歯肉縁深いマージン(接合部)は読み取りにくい。
マテリアルの変化とともに歯科治療のセオリーがだいぶ変わった。
日本の歯科業界のトップランナーの先生方も、
海外の学会などで講演すると、
「なぜこんなに歯を削るのだ?」
と首を傾げられる時代。
もっと健全歯質を残すべきだと言われるのだ。
メタル嫌いで20年以上歯科臨床を行ってきたので、
こういう流れが当然だと思うしとても嬉しく思う。
30代くらいまでの若い先生はスッと頭に入るが、
50代以上の先生方に理解してもらうにはエネルギーが必要。
上の写真は大臼歯のオールセラミッククラウンの支台歯形成。
オールセラミッククラウンとは言えないくらい縁上マージンである。
今日は同じ患者様の前歯2本のラミネートべニアの支台歯形成を無麻酔で行った。
共に私が担当している患者様である。
とにもかくにも私のクリニックはこういったコンセプト。
なるべく健康な歯を無意味に削らない歯科診療を目指しています。