「歯がグラグラして歯肉退縮が気になる」
これは下顎前歯のCT画像。
縦にスライスして側面から見たもの。
歯根を支えている歯槽骨はほとんどない。
ほんの少し乗っかっているだけ。
数年前に長期間かけた矯正治療が終わり、
徐々に歯が揺れてきて歯肉が痩せてきたと。
矯正治療は骨代謝が重要なので、
うまくいかなければ支持骨を失うこともある。
移動したい方向の骨を溶かし痩せさせて、
移動後のスペースに新しい骨ができる。
骨吸収と骨新成をバランスよく繰り返して、
歯を理想的な位置に移動させていく。
加齢とともに代謝量は少なくなるので、
動かすスピードや最初の診断やゴール設定が大切なのです。
これが最初に撮影した通常のレントゲン。
2次元画像ではあるが正常像ではないのがわかる。
歯根膜腔は拡大し歯根は短くなっている…。
これだけでは判断できないと思い、
CTの3次元画像が必要と撮影させてもらった。
日本の歯科医院のCT普及率は世界一。
必要なら早期にCT撮影し精密診断を行うべき。
少ない情報で誤った判断をしてしまい、
初動を間違ってしまうのはNG。
下のレントゲンから上のCTでのイメージを予想できますか?
万人に共通するベストな治療法などはない。
状況を考慮して無理をしないことも大切です。