他の歯科医院で矯正治療中の患者様からの相談。
年齢は17歳です。
現在他の歯科医院で歯列矯正治療を行っているそうなのですが、
真横に埋まっている下顎の左右の親知らずをどうしたらいいかと。
歯列矯正治療の進行状況はちょうど折り返し地点といったところでしょうか。
抜歯した小臼歯のスペースを利用してこれから前歯が後方に下がります。
親知らずは小さな顎の現代人において萌出スペースがなく埋まることが多い。
こちらの患者様も下の左右の親知らずがほぼ真横に埋まってます。
このような状況だと手前の歯との間に虫歯や歯周病を作ってしまったり、
またせっかく矯正治療で綺麗に並んだ歯並びを再びガタガタにしてしまうことも。
なので当医院では矯正治療を行う場合はほぼ抜歯させていただくことが多いです。
もちろん真っすぐ生えて虫歯にもなっていなければ要検討です。
ところが今回のご相談の患者様の場合は右下の7番が神経治療をして差し歯になっています。(赤↑)
最近、神経を取った差し歯ですが奥側が結構深く根尖に透過像もあります。
おそらく奥の親知らずが原因で虫歯になったのだと思います。
17歳で深い虫歯になり神経を取って差し歯になったので将来どれくらい持つのか不安…。
なのであらゆる治療法の利点欠点を患者様にお話ししました。
① 真横に埋まっている親知らずを抜歯する
手前の歯を虫歯にした原因はなくなり炎症も起きなくなる。
しかし将来7番が保存不可能になった場合インプラントにしなければならなくなる。
深い虫歯で神経を取った差し歯がどれくらい持つのかがポイントになります。
② 7番を抜歯して奥の親知らずを歯牙移植する
状態の良くない7番を抜歯して抜くはずだった親知らずを移植する。
まだ10代と言うことで親知らずの歯根が未完成。
うまくいけば移植後も神経は残り長期間7番の代わりになってくれる可能性大。
ちなみに歯根が完成した親知らず移植の場合は神経を取らなければならなくなることが多いです。
③ 7番を抜歯して奥の親知らずを矯正で引っ張る
状態の良くない7番を抜歯して奥の親知らずを牽引して7番の位置に並べる。
神経は残る可能性は高いが完全に真っすぐにするのは困難。
おそらく傾斜した状態で並び終えることになるのでかみ合わせを安定させるために、
咬合面にセラミックなどの修復物・補綴物を装着する可能性が高くなる。
大まかにいうとこんな選択肢になります。
真横に埋まった親知らずをこのままにしておくわけにもいかないのですが、
7番目の歯が神経のない差し歯になってしまっているのでいろいろ考えなくてはなりません。
10代と若いので先々のことまでしっかり考えなくてはなりません。
私個人的にはまだ矯正治療中ということもあるので③かなとお話しして、
矯正治療の担当医とご相談してまた連絡くださいと言うことにしました。
左の親知らずはいつでも抜歯OKですよと。
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