・初診時(写真上)
ほぼ全ての歯が重度の歯周病でグラグラ。
安定して咬めるところがありません。
初診時は診査診断と治療計画をじっくりご相談し、
3本以外全て抜歯しインプラント埋入することに。
上顎は10本欠損に5本、下顎は14本欠損に7本。
合計12本のインプラントを埋入。
通常の局所麻酔で手術は約1時間半くらい。
・固定式仮歯の装着(写真真ん中)
合成樹脂製の仮歯をインプラントに固定。
長い間しっかり食べることができなかったので、
これで一定期間慣れてもらいます。
いきなりよく咬めるようになるので筋肉疲労もあるし、
仮歯がどのように摩耗していくかも観察します。
清掃のしやすさなど細かな部分をチェックして、
最終的な上部構造の形態の参考にします。
・最終上部構造の装着(写真下)
約半年後、最終的な上部構造が装着されました。
製作は当グループ内のデンタルスタジオ246。
スクリューで取り外しがスムーズになるよう設計。
歯部分はセラミックで透明感を出し審美的に。
歯肉部分はあえて軟らかみのある合成樹脂に。
将来の歯肉形態変化に対応しやすいよう、
あえてここはセラミックにはしません。
人によって理想的なかみ合わせは違います。
同じ人でも年齢によって変化してきます。
かみ合わせ以外の唇の動きなどは長年の癖もあるので、
仮歯で実際に使ってもらい微調整を繰り返しながら、
最終的な上部構造を製作していかなければなりません。
またその時どんなに綺麗で機能的だったとしても、
それが永遠に続くという事は絶対にありません。
なので将来の微調整や修理をしやすいように、
設計や材質を選択しておくことが大切です。
1本の歯を周囲と調和させる「枠の中の塗り絵」も難しいですが、
多数歯欠損のような「白いキャンバスに1から描く」ケースは、
広い視野で診断し治療していくことが必須ですね。
自由度が高いという事は大きなエラーを起こすリスクも高いという事。
トラブルのきっかけもかみ合わせ
トラブルの根本原因もかみ合わせ
1つ1つのステップの細かな治療が素晴らしかったとしても、
かみ合わせがアンバランスなら長期維持は期待できません。