グラグラ揺れて怖くて咬めない…
先日こんなご相談で60代後半男性患者様が来院された。
15年以上前に他の歯科医院で行ったインプラントブリッジ。
医院ロケーションから当グループにはこういった相談を多数いただきます。
口腔内を確認すると確かに上部の歯がグラグラに揺れていたが、
根元の歯肉の炎症は大したことがないのでおそらく上部のみの揺れだろう。
骨の中のインプラントそのものが揺れていたら痛みや腫れが大きいから。
レントゲンを撮ると手前のインプラント周囲の歯槽骨が吸収していた。
お椀上にインプラント全長の4分の1程度。(写真上青ライン)
揺れると細菌が惹起し炎症を起こし歯槽骨を溶かしてしまいます。
セラミックブリッジを見ると咬む面にアクセスホールはないので接着固定と予想。
材質は金属に陶材を焼き付けたメタルボンドのブリッジタイプだった。
なので仮止め用の接着剤で固定されているだけだろう。
除去用器具をセラミックが割れないよう注意しブリッジにかけ上方に力を加える。
あっという間にブリッジは取れて汚れた2本のアバットメントが直接見えてきた。
手前のアバットメントだけが緩んでいてが完全にネジが緩み切ってないので抜けてない。
奥の土台は緩んでないのでいきなりセラミックブリッジが取れたりしなかったのだろう。
最初にレントゲンからD社のAというインプラントシステムであろうと予測。
この時代のA社のアバットメント連結機構は回転防止機構がないので、
緩んだスクリューを締めなおす際は奥のアバットメントと平行性をとる必要がある。
当院でもかなり昔A社のインプラントは行っていたので器材を準備し再締結。
その後セラミックブリッジを再度セメント仮着して咬合調整しリカバリー終了。
良い機会なのでブリッジを外した際にクリーニングもしっかり行った。
インプラント治療に限らず歯科治療の大半は昔どなたかが行った治療のフォロー。
長い人生、生きていれば紹介状なしで初めての歯科医院に訪れなければならないこともある。
国内外に無数のインプラントシステムがあるので全てを理解し対応準備するのは難しいが、
すでに身体の一部として機能してるのだから誰かがそれを行わなければならない。
このD社のAというインプラントシステムはアバットメント連結部のくびれが大きい。
インプラントとアバットメントのサイズの差が大きいのでうまく使えば骨吸収が少ない。
残念ながら揺れたまま長期間放置したので手前側はお椀状に骨吸収してしまっているが、
奥は15年以上前の埋入当時の骨レベルとほとんど変わらないままキープされている。
やや埋入方向に思うところはありますけどね…。汗
このインプラント治療を行った担当医がわかったら現在の状況を報告差し上げたい。
15年以上もしっかり機能してますよ… 少しだけメンテナンスしておきました
とね。
ちなみにAシステムは後に回転防止機構が付いて使いやすくなったのだが、
D社が他に複数のシステムをM&Aで取得した関係からか新規ユーザーはあまり増えてない。
新規ユーザーが増えようが減ろうが過去に行い口腔内で機能しているインプラントはたくさんある。
なので不具合が生じ困っている方がいる限り、誰かがリカバリーをおこなわなければなりません。
ちなみに業界関係者の皆様。
AはASではなくANですのでお間違えなく…。
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お気軽にご相談くださいね。