虫歯を除去して神経ギリギリなったとしても、
またはほんのちょっと神経まで到達したとしても、
まだ神経を残せるんじゃないかと歯科医は努力します。
昔は安易に神経を取る先生が多かったですが、
今はそういう先生はかなり減った…と思います。
「セラミッククラウン=便宜抜髄」ではありません。
健康な歯を必要以上に削らない
安易に神経を取らない
こういった保存治療は大切です。
歯の神経を取ると歯は乾燥して弱くなります。
水分があれば粘ってたわんでくれますが、
カピカピに乾燥した歯にはその粘りがありません。
なので補強材を入れて咬合力に耐えられるようにします。
しかし時間の経過とともに劣化してきて、
亀裂が入って割れてしまうんです…。
神経のある生きてる歯であればまずこういう割れ方はありません。
根を通じて土から栄養をもらってる木は粘りますが、
たき火の薪ように乾燥した木は斧で簡単に縦割れしますよね。
なので安易に神経を取ってはいけないのです。
この上顎大臼歯は残念ながら歯根破折で保存不可能。(写真上)
上顎大臼歯は歯根が3つバラバラの方向を向いて生えているのですが、
頬側の手前の歯根周囲が膿のせいで骨が広範囲に溶けてました。
抜歯してしっかり感染物を除去し自然に骨再生するように準備。
しかしながらすべてが「歯根破折=即抜歯」ではありません。
割れ方が浅い部分に限局している場合は、
矯正力で歯根を牽引して健全歯質を歯肉縁上に出したり、
1度抜歯して接着剤で整復して再度戻すなんてこともあります。
ただ、正直のところ予後はあまり期待できません…。
いたずらに抜歯を先延ばしにして感染範囲を広げてしまうのではなく、
広い視野で長い目で見てベストな選択をしなければなりません。