インプラント治療は人工歯根を歯槽骨内に埋入し、
その上に状構造を固定し機能回復を図る方法です。
インプラント埋入手術を行うと、
直後は外形デザインで機械的に固定されますが、
その後時間の経過すると組織的な骨結合を起こします。
それをオステオインテグレーションと言います。
チタンが骨と付きやすくアレルギーが少ない性質を利用し、
歯科の口腔領域でもすでに50年以上使用されてます。
整形外科の人工股関節インプラントはもっと認知されてますね。
チタンの材料そのものの向上や表面組織の改造、
または保存方法など様々な部分で改良されたことで、
一昔前に比べてインプラントの骨結合期間は早くなりました。
症例として個人差が大きく1つとして同じケースがありませんが、
大まかに下記の様に分類します。
まずは抜歯後半年以上時間が経過し骨量が十分な場合。(参考図↑)
歯槽骨は梁の中に骨芽細胞を含んだ骨髄液で満たされている海綿骨と、
外界からの圧力に耐えられるように硬くできている外側の皮質骨で構成。
下顎骨は皮質骨部分が厚くとても硬いため約2か月で骨結合します。
硬い骨なので逆に埋入手術時に過剰圧迫にならないように注意が必要です。
上顎骨は海綿骨部分が多く全体に軟らかいので約3か月。
軟らかいので一定期間安定して固定を獲得することが重要です。
現在はインプラントそのものが進化してきてますので、
この期間よりも早く骨結合が獲得できています。
なのであくまで一般的なケースになります。
次にインプラントを支える骨量が不十分な場合。(参考図↑)
インプラント埋入と同時に骨造成を行える程度の場合は、
先ほどの期間に+1~2か月ほど延長します。
その間は外界からの刺激でインプラントが動いたり、
骨造成部分に力が加わらないようにしなければなりません。
まず骨造成のみを行って支持骨を増やしてからでなければできない場合は、
先ほどの期間に+4~6か月の延長になりかなり長期間になります。
移植材料に何を使うかや技術力によって治療期間や結果に影響が大きいので、
経験豊富な専門医に相談し依頼した方がより良い結果を得られると思います。
この2つのパターンに更に前後のステップを加えたものが、
「インプラント治療の総治療期間」となります。
抜歯してどれくらい経過してからインプラントを埋入するのか。
6か月?3か月?1か月半?抜歯と同時?
担当医の経験や技術力などによって計画が違います。
こちらも一昔前と違いあまり期間を開けない歯科医が増えています。
最終上部構造の製作は2週間ほどでできると言えばできますが、
通常はまず先に固定式の仮歯に変えて慣らし運転をしながら経過をみて、
その上方を加味した最終上部構造を製作に入ったほうが良いです。
ケースにもよりますが平均1、2か月で前歯などでは3か月ほど仮歯のケースも。
以上のことでわかるように、
インプラントの骨結合がどれくらいでするかという事よりも、
抜歯のタイミングや仮歯でのチェックの有無などの部分の影響が大きい。
つまりその歯科医の経験や技術力、そして考え方で総治療期間が決まります。
骨折の治し方も大げさなギブスをして筋肉を衰えさせなくなりました。
歯も抜歯して時間が経過しすぎると周囲組織の形態か変化します。
変化してから移植するのではなく「組織を変化させない」ほうが簡単。
「正確な診断とベストな治療計画と高い技術力」
これがあるかないかで治療期間も結果も痛みや腫れの大きさも、
ものすごく大きな差があるのがインプラント治療になります。