歯が欠損した場合の第一選択として確立されたインプラント治療。
周囲の天然歯に余計な負担をかけないし天然歯に最も近い使用感がある。
しかし長期間使っていくと多少のトラブルが起きることもあるんです。
様々なトラブルの中で割と軽いトラブルは「上部構造の破折」。
患者様は「インプラントが割れた!」と驚かれるかもしれません。
でもインプラントが割れたのではなく上の歯が割れたのです。
インプラントは天然歯にある歯根膜と言う緩衝材がないので、
上部構造にかかる負担は大きく減りも早いです。
食いしばりが強く歯ぎしりの習癖がある方なら特に減りが早い。
摩耗して薄くなれば割れてしまうこともあるのです。(写真上)
一昔前の補綴物のように金属のフレームの上に焼き付けるものにも数種類あり、
陶材ならまだ強度もありますが合成樹脂となるとちょっと軟らかすぎるんです。
現在は金属不使用で製作し二ケイ酸リチウムやジルコニアなどがその代表例。
その方が従来のセラミックよりも4~12倍の強度があるのです。
ジルコニアは発売当初は不透明で審美性がとても悪かったのですが、
最近のジルコニアは透明度があるものが数多くラインナップされています。
ですからジルコニアの上に陶材を盛ることもせず色付けだけでフィニッシュ。
前歯はともかく奥歯の様な咬合負担の大きな歯であればこれで十分なのです。
でもこの写真のように歯がすり減って割れてくれるってことは、
ある意味インプラントにかかる過剰な負担を逃がしてくれたってこと。
良くも悪くもインプラントは良く咬めますので材質の選択や咬合調整、
そして定期的なチェック&ケアは怠ってはいけません。
割れたまま放置すると相手の歯が伸びてきたり隙間に汚れがたまります。
早期であれば簡単なリペアで済むこともありますのでご相談ください。