口腔前提とは唇や頬の内側粘膜と歯の間にできる空間のこと。
この空間が狭いと歯ブラシなどが入りにくくなるので清掃不良になりやすくなりますし、
歯の周囲組織を支える本来動かない歯肉が唇や頬の動きによって常に引っ張られるため、
歯肉だけでなく、その内部の歯槽骨吸収など悪影響が起こりやすくなります。
インプラント治療などで大規模な骨造成など歯肉の可動量を増やす目的で減張切開を加え縫合した場合、
上部構造付近まで可動粘膜が付着しその結果極端に口腔前提が狭くなってしまいます。写真①
部分層弁(骨膜はそのまま)で切開し全体の歯肉の緊張を減少させ、唇や頬の動きに左右されない状態にします。写真②
その後、後戻りを防止するために歯槽頂側に付着していた上皮を下部で縫合固定をします。写真③
露出した部分に口蓋から採取した上皮付き粘膜や人工材料を移植固定することもありますし、
炭酸ガスレーザーなどをあて、拡張され露出した結合組織の表面の上皮化を促進させることもあります。
1か月ほど経過し落ち着いてくると可動粘膜は激減し口腔前提が獲得でき余裕ができました。写真④
唇や頬の動きに影響されない角化歯肉ができ、歯ブラシも入りやすくなって清掃もしやすくなります。
こちらは局所麻酔で約15~30分ほどの簡単な手術。
拡張した表面に上皮付き粘膜や人工膜を移植するほうが更に厚みのある角化歯肉を獲得できますが、
過度な緊張を解放させてあげるだけでもかなり効果がありますのでご相談ください。
重度の歯周病でインプラント治療
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