CT撮影して3次元データからシミュレーション。
シミュレーション通りに埋入できるようサージガイドを作成。
これをガイデッドサージェリーと言います。
これが普及し多くの歯科医がインプラント治療を行うようになりました。
私は年間700~1000本のインプラントオペを行いますが、
ガイデッドサージェリーで行うのはおおよそ半分くらい。
その理由はインプラント埋入までのタイミングが早いから。
平均的には抜歯から2か月以内。
条件揃えば抜歯と同時に。
更に条件良ければ固定式の仮歯まで装着。
大半がこんな感じ。
これくらいのタイミングでインプラントオペをするとなると、
抜歯前の歯根の位置がよくわかるんです…。
なのでそれに対してどれくらい傾けるとかの工夫する。
もちろんシミュレーションしてガイデッドサージェリーでいいのだが、
全部のケースでそれだけでは危険だと言うことも忘れないでほしい。
ガイドだけではうまくいかないこともあるので注意が必要なのです。
色々理由はありますが、最大の理由はCTデータの問題。
早いタイミングでインプラントを埋入するということは、
まだ完全に骨再生しきれてない状態で撮影し読影することになる。
血餅から幼弱な骨様組織になり新生骨となる過程の状態を、
CT画像としてどのように表現するかは限界があるし、
当然メーカーによっても少し差があるのです。
まだまだ骨再生しきれてないと思って手術の望んだら、
バッチリいい骨ができていて良かった…ってことありますよね。
なので、
手術の安全性を担保するための危険部位回避と、
理想的な上部構造のイメージを持つ
と言うくらいの気持ちでサージガイドを準備して手術に臨む。
つまり、嬉しい誤差や嬉しくない誤差にフレキシブルに対応できるよう、
ある程度、器具器材と頭の両方で柔軟に準備しておいたほうが良い。
色んな所でセミナーや講演を行っていく中で、
「サージガイドでしかオペをしたことありません…」
っていう若い先生のお話を伺ったこと多数。汗
抜歯して数年経過しているようなケースならそれでいいかもしれないが、
骨吸収が著しかったり埋入時期が早い場合はちょっとねぇ。
フリーハンドでもしっかりできる人がより確実にするためのものなのになぁ。
そんなことを思うのでした…。
このケースは抜歯後1か月半なので抜歯窩は残っていました。
頬舌的に骨幅がないので細めのインプラントで初期固定をしっかりとりたい。
抜歯窩に影響されないようやや遠心方向に傾斜させて埋入窩を形成。
結果的にオトガイ孔ともしっかり安全域がとれていく。
これらを全部フリーハンドで行った後に簡単なガイドで補綴位置を確認。
こんな感じのデジタルとアナログの共有でした。
ナビに頼りすぎると道覚えないでしょ。
ビギナー運転手さんのタクシー乗ると辛いですよね。
それと同じだと思うんだけどなぁ。
単なる独り言。
ブツブツブツ…。