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抜歯・親知らず

抜歯基準

「1年半くらい前に歯根端切除を行ったのですが…。」

歯はグラグラに揺れ痛みも強く周囲歯肉は広範囲に腫れていた。
2次元のレントゲンを撮ると切断した根尖部以外にも透過像が認められた。
3次元のCT画像で診ると唇側の皮質骨は溶けて全く残ってない。
授乳中であることなど様々なことを考慮して残念ながら抜歯することにした。

歯冠を掴んで揺らしながら回転させるとあっという間に抜けてきた。
元々歯根は短くなってるし膿で骨支持がないからすぐ抜けてしまう。
慢性炎症が長期化していたので深部の歯槽骨は硬化してカチカチ。
なので小さな穴をたくさんあけて周囲の健全歯槽骨からの出血を図る。

健全な歯槽骨から出血して出た骨髄液には骨芽細胞が含まれている。
欠損部分が再生するにはその増殖能を持つ骨髄液が必須なのだ。

この歯はそもそも外傷歯だったのだそうだ…。
そのうえ下顎前歯の叢生が原因でかなり突き上げがある。
歯根嚢胞はともかくこれだけの内部吸収はかなり前からあったはず。
1年半前の歯根端切除の際もおそらくあったでしょう。

誰もが出来るだけ天然歯を抜かずに保存しようと考えている。
インプラント治療を突き詰めるほど保存したいと強く思うようになった。
では、どの段階で抜歯しましょうと患者さんに諦めてもらうか?
それは担当する歯科医の考え方などによってかなり違う。

・どうしようもなくなるまでとにかく残しましょう
・今はストレスがないかもしれないが次の事を考えあきらめてほしい

この前SNSでどなたかが火事に例えていた…。

判断が遅れ隣近所まで巻き込む大火災にしてしまうのか、
早めの判断で自分の家だけで食い止めるのか。

どちらが良かったかは比較することは難しい。
私が患者の立場だったら1年先の見通しで診断されるよりも、
5年、10年、それ以上の長いスパンでアドバイスしてほしい。
歯科治療だけでなく人生と同じですね。

その場限りの優しい言葉が最良のアドバイスとは限らない…。

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