インプラント治療は失った歯を機能的に回復するだけではなく、
周囲組織と調和させ審美的に回復することもとても重要です。
臼歯のように目立たない部分ならまだしも前歯のようにお顔の印象に影響の大きな部分では、
周囲の歯と色調が合っていることはもちろんですが歯肉の形態なども重要になります。
かなり前に他院で前歯のインプラント治療を行ったが見た目を何とかしたいという相談。
揺れなどはありませんが歯の長さが極端に長く歯肉の色も黒ずんでいます。
レントゲンやCTで確認するとインプラント埋入位置がかなり唇側に寄っており、
インプラントを支えるべき歯槽骨が裏側にしかない状態でした。
患者様は痛みや腫れが大きな外科処置をせず回復できるならと言うリクエスト。
そこで位置の悪いインプラントを周囲組織を挫滅させないよう専用器具で撤去し、
歯肉の炎症が落ち着いた後に再度新たにインプラントを埋入。
4か月後に仮歯を経て最終的なオールセラミッククラウンを装着しました。
結合組織移植や大掛かりな骨造成を行うことはせずあくまでも撤去部位のみでの外科処置。
インプラント埋入ポジションを正しく補正しサイズも適切なものに変更しただけ。
痛みや腫れも最小限で治療期間も約4か月で終了と言うことで患者様にもご満足いただきました。
現在再治療後8年ほど経過しましたがほぼ歯肉の位置も変わらず問題なし。
インプラント治療は高度なテクニックや最新の材料に興味が偏りやすいですが、
埋入ポジションやサイズなど基本的な部分が誤っていると何の意味もありません。
逆に言えばそこさえきちんと守られていれば大きなトラブルは避けられるのです。
とは言え、時間の経過と共に誰もが体の変化をしていきます。
加齢とともに、かみ合わせも変わりますし唾液の分泌量も減ります。
インプラント治療はどうしようもなくなってからのリカバリーではなく、
適切なタイミングで最小限のリペアをしておくと長持ちします。
メーカー・システムに関係なく対応可能ですので是非ご相談ください。
インプラント治療のやり直し・前歯①
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<この症例の担当医師>
外科:梅田和徳
補綴:鎌田昌美、牧野正太郎