矯正歯科が必要な不正咬合
不正咬合とは?
不正咬合とは、上下の歯が適切に噛み合っていない状態をいいます。不正咬合には、上あごと下あごの位置がずれている骨格性のもの、歯とあごの大きさのバランスが悪いことによって一つひとつの歯にでこぼこやすきまが生じる歯性のものなど、さまざまな種類があります。
噛み合わせが悪いと、どうなるの?
口は「ものを食べる」「言葉を話す」ためにあるものですから、噛み合わせが悪いと咀嚼機能が低くなり、消化が悪くなったり顔色にも影響を及ぼすことがありま す。また、発音の際にも歯並びが悪いと歯と歯の隙間から空気が漏れる等によって正しく発音することが困難になることもあります。
噛み合わせが悪いことがもたらす弊害
- 歯ブラシが届きにくく虫歯や歯周病になるリスクが高くなる。
- 発音に影響を起こす場合がある。
- 食べる時に、しっかり食べ物を噛めなく消化が悪くなる場合がある。
- 成長期に、悪い歯並びや、指しゃぶりなどのお口の癖を放置しておくことで、顎の成長が悪い方向にすすんだり、 発育不足をおこすことがある。
医療法人社団京和会
理事長 梅田 和徳
矯正歯科治療は、見た目の改善のみが目的だと勘違いされがちですが実は違います。噛みあわせを整えることで全体の咬合バランスがよくなりますし、歯列がキレイにそろうことで唾液が大まかな汚れを流してくれやすくなります。更に汚れがたまった際もお掃除が簡単にできます。本来なら成長期にできれば一番いい矯正治療ですが、最近では大人になってからの矯正治療患者様もとても増えていますよね。
不正咬合の種類
上顎前突(出っ歯、下顎遠心咬合)
- 上顎前突(じょうがくぜんとつ)とは、上顎の過成長、または、下顎が上顎と比較して奥に引っ込んでいる状態のことを指します。
学校保健法で上顎前突として不正咬合と判断される基準は、上の前歯が下の前歯より8㎜以上出ているものとされています。 日本人は比較的上顎前突の方が多いようです。
下顎前突(受け口)
- 下顎前突(かがくぜんとつ)とは、骨格的に下顎が大きい状態のことを指します。
学校保健法で下顎前突として不正咬合と判断される基準は、3歯以上が上下反対の咬合になっているものとされています。上下の前歯が、前後逆に噛んでいる「反対咬合」になることもあります。
開咬
- 開咬(かいこう)とは、奥歯でしっかり噛んでも前歯が咬み合わずに上下の歯の間が開いてしまう状態のことを指します。(稀に逆に前歯を咬み合わせても奥歯がかみ合わないケースもあります)
学校保健法で開咬として不正咬合と判断される基準は、奥歯を咬んだ時に上下の前歯が6㎜以上空隙が出来るものとされています。 開咬は歯並びによるものと骨格によるものとに分かれ、幼年期に指しゃぶりが長く続いていたこと等が原因になることもあります。
叢生(乱杭歯(らんぐいし)、八重歯)
- 上叢生(そうせい)とは、八重歯等の歯がでこぼこに生えている状態で、更にはこの仲間として「捻転(歯が正面を向かずにねじれて生えている)」というものもあります。
学校保健法で叢生として不正咬合と判断される基準は、歯が互いに4分の1以上重なり合うものとされています。
叢生の原因は、歯の大きさや数に対して、顎の骨が小さく、歯が並ぶ充分なスペースが無い場合におこりやすい不正咬合で、食事の内容が柔らかいものが中心になってきたことで顎が充分に成長しないことが原因の1つと言われています。
上下顎前突
- 上下顎前突(じょうげがくぜんとつ)とは、上顎・下顎ともに前歯が前に突き出ている状態のことを指します。外見上でも口元が出ているように見えます。
交差咬合
- 交差咬合(こうさこうごう)とは、左右いずれかの奥歯または前歯が横にずれている状態のことを指します。開咬と同様に指しゃぶりが長く続いた場合等によく見受けられます。
正中離開(空隙歯列、すきっ歯)
- 正中離開(せいちゅうりかい)とは、歯と歯の間にスペースが出来てしまっている状態のことを指します。
学校保健法で正中離開として不正咬合と判断される基準は、上の左右中切歯の間に6㎜以上の空隙(隙間)があるものとされています。
正中離開の原因は、叢生の場合の反対で、顎の大きさに対して歯が小さい場合や、先天的・後天的も含めて歯の数が足りない場合におこりやすい不正咬合です。
切端咬合
- 上下の前歯の先端どうしが真っ直ぐにぶつかっている状態のことを指します。
切端咬合の原因は、舌の癖や口呼吸・あごの骨の成長パターンの異常のために起こりやすい不正咬合です。