歯周再生治療法について
エムドゲイン療法とは
「エムドゲイン・ゲル」というジェル状の歯周組織再生誘導材料を歯根に塗って、歯周組織を再生する治療法です。
このエムドゲインの主成分であるエナメルマトリックスデリバティブは、子どもの歯が生えてくる時に重要な働きをするたんぱく質です。エムドゲイン・ゲルは、幼いブタの歯胚(歯や歯周組織のもととなる細胞の集まり)からこのたんぱく質を抽出・精製して作られます。これを塗布することで、初めて歯が生えたときと同じような、しっかりした付着機能をもつ歯周組織の再生が促されます。
エムドゲイン療法は、最も安全な歯科再生材料とされ、世界39か国75万症例に使用されています。
- ●GTR法との違い
エムドゲイン・ゲル療法のほか、もう一つの一般的な歯周再生療法としてGTR法があります。
人工膜を手術で歯肉と骨の間に挟み込むGTR法より、ジェルを注入するエムドゲイン・ゲル療法のほうが手術しやすく合併症のリスクが少ないというメリットがあります。
GTR(Guided Tissue Regeneration)法とは
骨は粘膜に比べて、再生に何倍もの時間を必要とします。そのため、歯周組織を再生する際には、先に粘膜が再生してしまいます。
そのため、「メンブレン」と呼ばれる人工膜を歯肉と骨の間に挿入し、骨の欠損部分に粘膜が侵入するのを防ぎ、歯周病によって溶けてしまった歯根膜や骨などの歯周組織の再生を促す治療法です。
- ●エムドゲイン療法との違い
歯周組織が欠損した部分をメンブレンで覆って歯肉を縫合するGTR法は、エムドゲイン療法よりも難易度が高くなります。また、メンブレンが口腔内に出てしまうことがあり、感染リスクもあります。
骨移植とは
歯周病が進行して骨が溶かされてしまった部分に、自分の骨や人工の骨を移植する方法です。歯肉や歯並び、歯の大きさなどが不揃いになった部分が、骨移植によって改善され、日常のケアもしやすくなることから、歯周病の進行や再発を抑えることができます。しかし、自分の骨を移植する場合は、治療する部分のほかに移植する骨を取り出す手術をしなくてはならないこと、移植した骨がもともとの骨とうまく結合しなかったり、吸収されてしまったりすることなどもあり、まだまだ課題の多い治療法です。選択に際しては、歯科主治医と十分に話し合うことが必要です。
エムドゲイン療法・GTR法についてのよくある質問
- 治療にはどのくらいの時間がかかりますか?
- 1時間前後で終了します。
- 歯茎を切開したり、縫合したりする際の痛みが心配です。
- 「お口の中でなにかしている」といった程度の感覚はありますが、麻酔によって痛みはほとんど感じないで治療を受けることができるので、心配はありません。
- 治療当日、帰宅してからの入浴・洗面・歯磨きなどは出来ますか?
- シャワーは大丈夫ですが、お風呂は控えて頂きます。
洗面も基本的には問題ないですが、患部は優しめに洗って頂ければ問題ございません。歯磨きもOPE部位は控えて頂き、それ以外は通常通りで問題ございません。 - 治療当日、治療後に痛みがでることはありますか?
- 治療後に痛みが出る可能性はありますが、鎮痛剤を処方いたします。
- 抜糸までにはどのくらいの日数がかかりますか?
- 個人差がありますが、治療から2~6週間後に行います。
- 歯周組織は、治療してからどのくらいで再生されますか?
- エムドゲイン療法でおよそ3~6週間、GTR法ではおよそ4~6週間で再生されますが、個人差があります。
- 歯肉の中に入れたメンブレンは、どうなるのですか? ※GTR法のみ
- 以前は、4~6週間してから再び歯肉を切開して取り除いていましたが、現在は自然に溶けて組織内に吸収される素材となりました。そのため、再度、切開することはなく、そのままです。
- 完全に健康な歯周組織になるには、どのくらいの期間が必要ですか?
- 歯周病の進行具合や範囲などによる個人差がありますが、数か月から1年は必要です。
- 治療後に、注意すべきことはありますか?
- 治療後は感染予防が何より大切です。そのため手術部分を傷つけないよう歯ブラシやデンタルフロスなどを使ったり、指や舌で触ったりしないようにしてください。また、処方されたうがい薬を使ってお口の中を常に清潔にしておいてください。
- タバコは吸っても大丈夫ですか?
- 喫煙は免疫機能に対して抑制的に作用します。その為タバコを吸う人は、吸わない人よりも治療の結果が低いといわれております。よりよい治療結果のためにも禁煙を心掛けてください。
- 治療後の通院はどのくらいの期間、必要でしょうか?
- その人にもよりますが、およそ6週間は治療を受けた歯科医療機関で定期的な検査とメンテナンスを受ける必要があります。